■アルコール
・炭化水素にヒドロキシ基(水酸基)が結合したもの。
☆ベンゼン環にヒドロキシ基〔水酸基)が結合したものはフェノールという。

■アルコールの名前
・アルカンの「アン」を「ノール」にかえる。

・CH3OH:メチルアルコール(=メタノール)
・C25OH:エチルアルコール(=エタノール)
・C37OH:プロピルアルコール(=プロパノール)
・C49OH:ブチルアルコール(=ブタノール)
・HO-CH2CH2−OH:エチレングリコール
・HO-CH2CH(OH)CH2-OH:グリセリン

■アルコールの分類
・2通りの分類法がある。
@価数
・分子内に何個のヒドロキシ基をもつか。
☆2価アルコール……エチレングリコール(HO-CH2CH2-OH)、3価アルコール……グリセリン(HO-CH2CH(OH)CH2-OH)。

A級数
・第一級アルコール……CにはRが1個ついていて、Hが2個ついている。(一般式/R-CH2-OH)
・第二級アルコール……CにはRが2個ついていて、Hが1個ついている。
・第三級アルコール……CにはRが3個ついていて、Hが1個もついていない。

■アルコールの製法
@アルケンの水付加
Aアルコール発酵  ・C6126 →2C25-OH+2CO2  (触媒:チマーゼ
☆お酒のアルコールは エタノール

■アルコールの性質
@OH基の極性により親水性がある。
Aアルカリ金属と反応して水素を発生。
B酸化反応
C脱水反応
Dヨードホルム反応。
Eエステル化反応。

■アルコールとアルカリ金属との反応
・金属Naと反応して水素を発生。 2CH3OH+2Na→2CH3ONa+H2
☆生成物質を ナトリウムアルコキシド という。フェーノールとの生成物質は ナトリウムフェノキシド という。

■アルコールの酸化
・第一・第二・第三アルコールではそれぞれで結果が違う。
・試薬は過マンガン酸カリウム水溶液の硫酸性水溶液かニクロム酸カリウムの硫酸性水溶液。

@第一アルコール
・第一アルコールは二段階の酸化反応をする。
・第一段階(脱水素酸化)→ アルデヒド  第二段階(さらに強い酸化剤で酸化)→ カルボン酸 。

A第二アルコール
・ ケトン(−CO−) になる。(第一段階で終わる)。

B第三アルコールの場合
・酸化されない。

■アルコール(エタノール)の脱水
@C25OHを濃硫酸で 160〜170℃ で加熱→CH2 =CH2 +H2O  エチレン が生成。☆分子内脱水
AC25OHを濃硫酸で 130〜140℃ で加熱→C25-O-C25 +H2O  ジエチルエーテル が生成 ☆分子間脱水

■エーテルの性質
@水に難溶
A有機溶媒の代表。(有機化合物を溶かす。)
A揮発性
☆アルコールに生じる反応を起こさない。

■エーテルの名前
・CH3-O-CH3 (ジメチルエーテル)
・CH3-CH2-O-CH2-CH3 (ジエチルエーテル)
・CH3-CH2-O-CH3 (エチルメチルエーテル)
☆エチルメチルエーテル:アルファベットの順番にいう。エチルはe でメチルはmよりエチルが先。

■エーテルの製法
・ハロゲン化アルキルとナトリウムアルコキシドを反応させる。 R 1 -I+R 2 -ONa→R 1 -O-R 2 +NaI


■アルコールとエーテルの識別
金属Naを加える。⇒アルコールのみ反応して水素を発生。

■アルデヒドの名前
・アルデヒドの名称は慣用名でよばれる。
H−CHO:ホルムアルデヒド。
CH3−CHO:酢酸
CH3−CH2−CHO:プロピオンアルデヒド

■アルデヒドの性質
@酸化されやすく強い還元性を示す。
A水に可溶。(Cの数が少ない低級アルデヒドのみ。アルデヒド基が親水性のため)
B水溶液は中性を示す。
C銀鏡反応。
Dフェーリング反応。

■アルデヒドの製法
@第一アルコールの酸化。
☆代表的な例。
・メタノール(CH3OH)→ホルムアルデヒド(H−CHO)
・エタノール(C25OH)→アセトアルデヒド(CH3−CHO)
Aアセチレンの水付加→アセトアルデヒド(CH3−CHO)

■銀鏡反応(還元力検出反応)
・試薬:アンモニア性硝酸銀水溶液
☆アンモニア性硝酸銀水溶液をアルデヒドを加えて加熱すると、試験管の内壁に銀が付着する。
・R-CHO+2[Ag(NH3)] ++H2O →R-COOH+4NH3+2H+2Ag

■フェーリング反応(還元力検出反応)
・試薬:フェーリング液(CuSO4+NaOH(aq)+他)
☆フェーリング溶液にアルデヒドを加えると、 酸化銅(T) (Cu2OでCuOではない)の 赤色沈殿 を生じる。
・R-CHO+2Cu2++5OH →R-COO +Cu2O +5H2

■ホルマリン
・ホルムアルデヒドの30〜40%の水溶液を ホルマリン という。

■ケトンの名前
・ジメチルケトンは慣用名、アセトンという。

■ケトンの製法
@第二アルコールの酸化。
Aアルケンの酸化
Aクメン法……アセトンのみ。
Bカルシウムの乾留(実験的製法)……アセトンのみ。
☆乾留…空気を絶って加熱して熱分解させること

■ヨードホルム反応
□試薬
・水酸化ナトリウム+ヨウ素 。
☆溶液を加熱する(お湯につける)と ヨードホルム(CH3I) という 黄色い沈殿 が生じる。
☆反応する物質は
・第二級アルコール、エタノール(第一級アルコールはエタノールのみ)、アセトアルデヒド(アルデヒドはアセトアルデヒドのみ)。ケトン(すべてではない)。

■カルボン酸の名前
・ほとんどが慣用名。
☆覚えた方がいいカルボン酸
・ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、シュウ酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、安息香酸 、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、サリチル酸、パルチミン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸。

■カルボン酸の性質
@水溶液は弱酸性を示し、塩基と中和反応を起こす。
A炭酸塩と反応して二酸化炭素を発生する。※弱酸の遊離
B水によく溶ける。(Cの数が少ない低級カルボン酸のみ。カルボキシ基が親水性のため)
☆カルボン酸の酸の強さ
トリクロロ酢酸(TCA)>ジクロロ酸>クロロ酢酸>酢酸
C酸無水物を生成する。

■カルボン酸の酸の強さ
・トリクロロ酢酸(TCA)>ジクロロ酸>クロロ酢酸>酢酸

■有機化合物の酸の強さ
・スルホン酸>カルボン酸>(炭酸)>フェノール

■カルボン酸の酸無水物生成反応
@酢酸→無水酢酸
Aマレイン酸(フマル酸は不可)→無水マレイン酸
Bフタル酸(イソフタル酸、テレフタル酸は不可)→無水フタル酸

■ギ酸
酸性 かつ 銀鏡反応を示す。
★理由
・ギ酸はアルデヒド基とカルボキシ基を持つため。

■氷酢酸
・氷酢酸は純度の高い酢酸のこと。純度の高い酢酸は冬期に凍って結晶になることから。

■マレイン酸(シス型)とフマル酸(トランス型)の覚えかた
・虎(トラ)に踏まれて(フマル)マレー(マレイン)に死す(シス)

■脂肪族酸の二重結合の数
・脂肪族酸の二重結合の数は、示性式から求められる。
☆C(2n+1)−2mCOOHmが二重結合の数。

■エステル
・カルボキシ基をもつ物質とオキソ酸の脱水反応で生じた物質。
☆試験に出るエステルはほとんどがカルボン酸エステル。他に硝酸エステル、硫酸エステルなどがある。

■エステルの名前
☆R 1 -CO-O-R 2
・R2をHに置き換えたカルボン酸の名前で呼び、あとに-R2基の名前をつける。
例……酢酸エチル、ギ酸メチル、安息香酸メチル、酢酸フェニル。

■エステルの製法
・カルボン酸とヒドロキシ基をもつ物質を濃硫酸を加えて加熱。
☆硫酸は触媒作用と乾燥剤の2つの役目がある。

■エステルの性質
@水に難溶。
A芳香をもち果実などに含まれる。
B2つの加水分解反応をする。
(@)酸を加えて加熱するとカルボン酸とヒドロキシ基をもつ物質に分解する。
(A)強アルカリ(水酸化ナトリウム)を加えて加熱するとけん化する。

■油脂
・動植物に含まれる疎水性の物質を油脂という。
⇒ 3価アルコールであるグリセリンと種々の高級脂肪酸とのエステル
油脂のうち
@牛脂や豚脂のように常温で固体のものを脂肪(fat)という。
・常温で固体状の油脂にはパルチミン酸やステアリン酸のような高級飽和脂肪酸が多い。
・常温で液体状の油脂には低級脂肪酸やリノール酸のような高級不飽和肪酸が多い。
☆理由
・ 飽和脂肪酸は直鎖状の分子で、分子同士接近しやすく、分子間力が強く働くために融点が高くなる
一方、不飽和脂肪酸は二重結合をもち、すべてcis形あるので、二重結合を多く持つ分子ほど折れ曲がり、分子同士の接近が妨げられ、融点は低くなるから。
A大豆油やオリーブ油のように常温で液体のものを脂肪油(oil)という。

■油脂の不飽和度
・油脂1分子中に含まれるC=C結合の数を油脂の不飽和度という。
⇒ 3価アルコールであるグリセリンと種々の高級脂肪酸とのエステル
油脂のうち
@牛脂や豚脂のように常温で固体のものを脂肪(fat)という。
A大豆油やオリーブ油のように常温で液体のものを脂肪油(oil)という。

■けん化
・油脂をけん化するとセッケングリセリンが生成。

■セッケン
・セッケンは高級脂肪酸の金属塩の総称。厳密にはナトリウム塩をソーダセッケン、カルシウム塩をカルセッケンという。

■セッケンと合成洗剤
・セッケン……硬水と反応して沈殿。水溶液は弱塩基性。
・合成洗剤……硬水と沈殿しない。水溶液は中性。
羊毛や絹は塩基性に弱い

■けん化価
・けん化価は油脂1gをけん化するのに要する KOH の mg数 。
☆けん化価が大→平均分子量が小さい→Cの数が少ない脂肪酸からなる油脂。
けん化価が小→平均分子量が大きい→Cの数が多い脂肪酸からなる油脂。

■ヨウ素価
・ヨウ素価は油脂100gに付加しうる ヨウ素 の g数 。
☆ヨウ素価が大→二重結合の多い油脂。
ヨウ素価が小→二重結合の少ない油脂。

■乾性油と不乾性油
☆二重結合の多い油脂は固まりやすい。
・乾性油→二重結合が多い→固まりやすい。
・不乾性油→二重結合が少ない→固まりにくい。

■硬化油
・二重結合の多い油脂にニッケルを触媒として水素を付加させた油脂。
☆二重結合の多い油脂は、一般に融点が低いが、水素を付加させると融点が高くなり固体となる。(例…マーガリン)

■カルボン酸とエステルの異性体
・C2n2 の異性体はカルボン酸かエステル。
☆識別は酸性を示せばカルボン酸、水に溶けにくく塩基と加熱で均一な溶液ならエステル。

■脂肪族化合物と液性
・酸性はカルボン酸だけ。他はすべて中性(アルコール、アルデヒド、エーテル、ケトン、エステル)