■ベンゼン環の構造と性質 @無色透明の油の一種で、石油の中に含まれる。 A分子式はC6H6。 B正六角形で結合距離は単結合と二重結合の中間の値(1.40×10 -8 cm)をとる。 ☆一般にC-Cの原子間距離:1.58×10 -8 cm C=Cの原子間距離:1.34×10 -8 cm C付加反応より置換反応が起こりやすい D二置換体(オルト、メタ、パラ)の3種の異性体がある。 ■ベンゼンと塩素との反応 @日光(紫外線)に当て、塩素を作用させるとヘキサシクロヘキサンが生成。 A鉄を触媒として、塩素を作用させるとクロロベンゼンが生成。 ■酸化 ・側鎖がメチルのものを酸化させるとカルボキシ基になる。 ■ベンゼン環の置換(水素原子2個を置換した化合物の名前) @メチル基2つ。 ・ o -キシレン、 m -キシレン、 p -キシレン。 Aカルボキシ基2つ。 ・フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸。 Bヒドロキシ基2つ。 ・カテコール、レソルシノール、ヒドロキノンというが試験にはでない。 Cメチル基とヒドロキシ基 ・ o -クレゾール、 m -クレゾール、 p -クレゾール。 ■フェノール ・フェノールとはベンゼン環にOH基が結合した化合物。 ■フェノールの3つの性質 @弱酸性を示す。 A塩基と中和して塩となり水溶性となる。 B塩化鉄(V)によって青〜紫色に呈する。 ■フェノールの製法 ・ベンゼンからフェーノールを作る方法は4つある。3つが工業的製法、1つが実験的製法。4つとも頻出。 ■ フェノールの製法・T 『ニトロ化経由法』 @ニトロ化の第一段階 ・硫酸と硝酸(混酸)を事前に混ぜる。(発熱するので室温まで下げる必要があるから) ・硫酸が硝酸に水素イオンを与え(酸)、硝酸が水素イオンを受け取り(塩基)、ニトロニウムイオンになる。 Aニトロ化の第二段階 ・ベンゼン環のπ電子にニトロニウムイオンが攻撃する。 Bニトロ化の第二段階 ・ベンゼン環が安定するために水素イオンを出し、硫酸水素イオンが受け取る。 →ニトロベンゼンが生成。 C還元反応 ・塩酸水溶液中でスズを加えて加熱する。 ・ニトロベンゼンとスズ(鉄でも可)が酸化還元反応をする。還元剤がスズとなる。 →アニリン塩酸塩を経由してアニリンが生成。 Dジアゾ化 ・亜硝酸ナトリウムと塩酸を冷やしながら加える。※亜硝酸ナトリウムは亜硝酸と水酸化ナトリウムの塩。 ☆冷やす理由はフェノールまで生成してしまうのをとめるため。 →塩化ベンゼンジアゾニウムが生成。 E加水分解 ・塩化ベンゼンジアゾニウム水溶液を加熱する。 →フェノールが生成。 ■ フェノールの製法・U 『クメン法』……現在の工業的製法。 @プロピレンにベンゼンを付加する。 →クメンが生成。 Aクメンを酸素で酸化 →クメンヒドロペルオキシドが生成。 B硫酸を加え分解させる。 →フェノールとアセトンが生成。 ☆常温・常圧でフェノールは固体、アセトンは液体。 ■ フェノールの製法・V 『スルホン化経由法』……昔のフェノールの製法(高温が必要と亜硫酸が出るという公害問題のためクメン法にとって変 わった。) @ベンゼンに硫酸を加えて加熱。☆スルホン化という。 →ベンゼンスルホン酸が生成。 A水酸化ナトリウムで中和する。 →ベンゼンスルホン酸ナトリウムが生成。 Bアルカリ融解 ・ベンゼンスルホン酸ナトリウムを固体の粉末にして、水酸化ナトリウムの固体を混ぜて加熱(300〜400℃)。 →ナトリウムフェノキシドと亜硝酸ナトリウムが生成。 Cフェノールより強い酸を加える。(弱酸の遊離) →フェノールが生成。 ■ フェノールの製法・W 『クロロ化経由法』 @鉄触媒をつかって塩素と反応させる。 →クロロベンゼンが生成。 A水酸化ナトリウム水溶液を加えて加熱。(加水分解) →ナトリウムフェノキシドが生成。 ■サリチル酸の製法 @フェノールに水酸化ナトリウム水溶液を加える。 →ナトリウムフェノキシドが生成。 A二酸化炭素を加えて、加熱・加圧。 →サリチル酸ナトリウムが生成。 Bカルボン酸より強い酸を加える。(弱酸の遊離) →サリチル酸が生成。 ■サリチル酸の性質 @ヒドロキシ基とカルボキシ基は隣同士で分子内水素結合をしている。 Aエステル化する。 ・相手がヒドロキシ基をもつ物質→サリチル酸のカルボキシ基が反応。 ・相手がカルボキシ基をもつ物質→サリチル酸のヒドロキシ基が反応。 ■サリチル酸メチルの生成 ・サリチル酸に濃硫酸(触媒)とメタノールを加えて加熱すると生成。 ・サリチル酸メチルは別名サロメチールと呼ばれ湿布薬に用いられる。 ■アセチルサリチル酸の生成 ・サリチル酸に濃硫酸(触媒)と無水酢酸を加えて加熱すると生成。この反応はアセチル化といいとれる物質は水ではなくて酢酸。 ☆酢酸でもアセチルサリチル酸はできるが収率が悪い。 ・アセチルサリチル酸は別名アスピリンと呼ばれ、鎮痛・解熱剤に用いられる。 ■アニリンの性質 @水溶液は塩基性を示す。 Aさらし粉水溶液を加えると紫色に呈色する。 B無水酢酸または酢酸を作用させるとアセトアニリドが生成。 ■カップリング反応 ・水酸化ナトリウム中で塩化ベンゼンジアゾニウムとフェノールを反応させると、 p -ヒドロキシアゾベンゼンが生成。 この反応をカップリングという。 ☆ p -ヒドロキシアゾベンゼンは橙色の固体。アゾ染料といわれ染色に用いられる。 ■2-ナフトールとのカップリング反応 ・水酸化ナトリウム中で塩化ベンゼンジアゾニウムと2-ナフトールを反応させると、1-フェニルー2−アゾナフトール が生成。 ☆1-フェニルー2−アゾナフトールも橙色の固体。 |